「キミが全力で勉強したくないならば、親に塾を辞めれるように俺が説得してあげるけどどうする?」
だいたいこんな切り出しで「遊びたいばかりの生徒」との面談を始めます。
汚い大人の私としては、「そこまでの覚悟は無く、ただただ怠けてしまって勉強の成果が出せていない」ということは予想しての最初の外堀埋めです。
「勉強は好きじゃないけど、『やらなかんな』とは思うし『頑張りたい』と思うなら、ちょっとでもそっちの方向へ向かうように相談をしようと思うんだけどどうよ?」
飽くまで自分で「勉強を頑張る」を選択したという事実をここで手に入れておきます。「無理やり決められた」なんて口が避けても言えぬように(^^)
自分で頑張る?一緒に頑張る?
「ここから成績を良くしていくための道は2つあってね、1つは自分一人で頑張ってみるっていう道。何も制限無しで自分でやってみるんだ」
「もう1つは一緒に相談して頑張る内容と我慢する内容を決めて実行するという道。具体的にどう頑張るかテスト前の勉強時間とか決めたり、勉強の邪魔になるものを封印するということね」
「どうする?お前まだ2年生じゃん?まだ学年末テストが残ってるよ。自分一人で頑張ってみるっていうのならば、お前に任せ・・・」
「いやムリムリ・・自分一人は無理です」
「あそう。じゃあ相談して決めるか」
もしもここで自分一人でやることを選んだときは、「もしも結果が出せなかったときには、次のテストまでスマホ封印と、平日毎日塾で自習ね」なんてダメだった場合のルールを詳細に決めておきます。
「それでいいかい?」と念を押して、ここでも自分で選んだという事実を作ります。
目指す目標と、最低達成したい目標を!
さて、具体的に相談をしていきます。
「まずは目標決めようか。順位をどれぐらいまで戻そう?」「最低でもこの順位を取る!っていうのも決めておこうよ」
目指すところに幅を持たせておきました。これは元カリスマ体育教師の原田さんの手法ですね。
荒れた中学を整えて、陸上競技個人種目で13回日本一に導いた先生が使っていた手法です。
このへんの目指す順位の交渉はインド人との価格交渉の感じです(´▽`)
「いやもうちょっといけるでしょ?これぐらいでどう?」
「じゃあ、これだけ譲るよ。前の順位がこうだったからいけるでしょ?」
バスケットゴールの高さを決めるときのように決めます。ゴールが高すぎても投げる気が失せますし、低すぎても楽勝過ぎて目指す気失せます。
本人の希望を尊重しながらもこちらの思う数値に多少は寄せていきます。
我慢するものを決める!
目指すところを決めたなら、具体的に我慢するものと頑張ることを決めます。
「キミは普段何をして遊んでるんだ?何が勉強の妨げになってるんだ?」
いろいろ湧いてくるわけです。任天堂スイッチ、PSPなどテレビゲーム。一番熱中しているのはデュエルマスターズという人気カードゲームですね。
「じゃあ、これらをな、テストのどれぐらい前から封印したらテストの結果を出す自信がある?」
ドキドキの瞬間です。ここで言う日数の長さで生徒の覚悟がわかります。さてどうだ!?
「3週間前」
良かった。まずまず覚悟をしているようですね。
「わかった。じゃあ3週間前から塾で封印することにしようよ。さっき言った『テスト直前土日以外の週末は返却する』ってルールはどうする」
「返却はお願いします」
「わかった。じゃあ直前土日以外は金曜の夜に返すね」
「デュエルマスターは1軍デッキ持って来いよ。そのデッキが1軍デッキかどうかは友達に判定してもらうからな」
カードゲームのカードというのはおそらく家に星の数ほどあって、結局その中で実際に使って遊ぶカードは1割にも満たないわけです。
メインで遊んでる大切なカードを回収できなければ意味ないですからね。このへんは遊戯王カードで遊んでてよかったです(´▽`)
ルールを決めたならばキッチリその通りにやりきってください。知らぬ間にナァナァになってる家族ルールが多い場合は子供も舐めてきます。
「なんだかんだ言って知らない間になくなってるわ。この約束」なんて。
頑張る内容を決める!
さて、全てテスト3週前に回収することになりました。勉強の取り組みの方も少し決めておきます。
「次のテスト前、塾での自習回数どうしようか。いつもと変わらない塾での自習回数で成績を上げる自信あればそのままでいいよ。」
「20回にします」
これぐらいにしておきました。元々力はあるし、まず今回は調子を取り戻して上向きになれば良しとします。
最後に
アメとムチ設定
このへんは賛否分かれるところでしょうが、私はアリだと思ってます。
一瞬の心の炎の大きさで決めた約束、維持するために使えるものはなんでも使っていきます。
なにせ今すぐ役に立たない勉強ですから、純真な子供ほど気持ちが入らないという面あるかもしれません(;・∀・)
「もしもまったく頑張ることができなくて、〇〇位を下回っちゃったらスイッチ売っぱらおうぜ。そのお金を親に返すか、塾代に充てちゃおうぜ」
全力で反対されました(´▽`)
「売るは無理!」なんて。まぁそうですよね。これぐらいの覚悟があれば達成できると思ったのですが(^^;)
「じゃあ〇〇位を下回っちゃったらスイッチとかカードとかの回収を続行しよう。次のテストで結果が出るまで回収継続。これでどうだ?」
「わかった」
極端なことを言っておいて譲歩する。高額商品を売りつける時の「ドアインザフェイス」テクニックみたいになりましたが交渉とはこういうものです(´▽`)
「あとは目標を達成できたときとか、過去最高順位を更新したときのご褒美設定は親と相談してよ」
アメの方は家庭で相談してもらいます。家庭によっての考え方の加減わかりませんからね。
交渉終了。なんとか次のテストを頑張るための内容がまとまりました。
A4の紙でパソコンで打った約束内容を3枚プリントアウト。塾用、本人用、親用です。親に渡したら「額に入れておこう」なんて喜んでくれたそうです(^^;)
ここまでする必要があったのはそれぐらいいつまでも「遊びたいばかり」だったからです。
中3に上がる前に軌道を修正しておかないとということで大げさにやりました。結果が出ることを願って見守ります。
ご覧いただいてる中学生を持つお母様は子供と交渉をするときの参考にしてみてください。家族間でやるとこうも上手くいかないことも多いですけどね(^^;)
今日はこのへんで。
それでは。
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