下克上受験は親子の愛の受験戦記だった!

(ネタバレ含みます。ドラマを楽しみにしてる方はお気をつけて)

「下克上受験」という本を読みました。正直言いまして私はこの本をみくびっていました。この本が出たのは記憶が正しければビリギャルが流行った少し後です。

「2匹めのどじょうを狙って感動受験記出してやろうという本じゃないのか?」なんて色眼鏡で見ていたのです。

そんな思いがあって読むことをスルーしていたのですが、どうやら現在TVドラマ化されて放映されているとのこと。

テレビドラマ化されるほどの本ならば良いものなのかもしれない。チョット気になるから買って読んでみようかな・・・ぐらいの気持ちで読んでみたのです。

そしたらこれがまぁ面白い!胸を打つ!!

とても感動したので今日はこの本のご紹介をすることにしました。

中卒親父と娘のリアルな最難関私立女子中への受験記!

この本は代々中卒家庭の父親が「我が一族の貧困の連鎖を止めなくてはいけない」と、娘に私立中受験をさせることを思いつくところから始まります。

「中卒」というだけでとても苦労してきたという父親自身と同じ道を歩んでほしくないと一念発起するのです。

スゴイのは塾に行かせず親子で勉強して受験を目指すのです。これは本当にスゴイことです。

例えるならばプロのコーチのもとではなく、親子だけで練習をしてプロ野球選手になるようなものです・・・

んー、いや、もっとスゴイな。想像を絶する凄さです。

私は過去に私立中受験の指導をしたことがあるからわかるのです。

当時勤めていた塾で私立中受験用に使用していたメイン教材は教育開発の新小学問題集中学入試編という教材でした。

その教材の練習問題と標準問題ぐらいまでのレベルがしっかりとこなすことができたならば、当時愛知県内の私立中はだいたい合格を勝ち取ることができました。

東海だろうが滝だろうが南山女子だろうが、この教材の標準問題までで事足りたのです。

ちなみにこの教材にはさらに「発展問題」というページがついてました。しかし当時の塾での指導には使用しなかったページです。

この発展問題は関西や関東の難関私立中へ合格を目指す子たちが取り組む更に難易度が高い恐ろしいページですね。

私はコテコテの公立中ですし勉強自体さほど得意ではなかったので、応用ページまででも息絶え絶えで同僚に助けてもらいながらなんとか指導していたんです。

そんな私にとって手をつけない(られない)発展ページは関西や首都圏の更に上の私立中の凄さをひしひしと感じさせられるページでした。

「は?こんな難しい問題を指導するのか?そしてこれを制限時間内に解く小学生がいるのか!?」

昔話が長くなりましたが、首都圏の私立中のレベルの高さを私はこんな経験から肌で感じています。

その中でも最難関の女子中「桜蔭」を親子だけで受験しようだなんて、正直もう想像を絶しすぎて言葉が出ないです。しかも中卒という父親主導でです。

ドエライ内容の本です。そんな本が饒舌な父親によって見事に記されるんです。そりゃ人気出ますよね。

中卒の父親から見た世の中や私立中受験の捉え方が新鮮!

書き手である父親は自分が中卒であるということをこれでもかと書いてきます。

中卒はこんな苦労がある。中卒はこんなふうに世間に見られる。中卒はこんな悔しい思いをする。

中卒同志の会話はこんなにも不毛だ。中卒の人のものの考え方はこうだ・・

父親がとても饒舌に説明をしてくれます。それは言い過ぎじゃないか?なんて言葉も中卒の人自身が言うのでカドが立たないんですよね。

未知の世界の私立中受験の世界に足を踏み入れていく過程もとても新鮮でした。

それにしても中卒だと言う父親の文章が上手すぎる(笑)

これにつきますね。本の後半で「娘と一緒に国語を勉強して語彙も増えて文章が書きやすくなった」なんて書いてありましたが、上手すぎて嫉妬しますw

読んでいた喫茶店で二度ほど吹き出して笑ってしまいました(^_^;)

自主出版で出したこの本を産経新聞出版が声をかけて途中から商業出版になったそうです。そこでプロの編集者の指導も入りさらに読みやすくなっているのでしょう。

父親の文章は熱い想いやユーモアが散りばめられた素晴らしく読みやすい文章で、あっという間に読了しましたね。

親子の壮絶な挑戦の先にあったもの

この本はビリギャルと違って受験の結果がいきなり書いてありました。冒頭の見開き2ページ目でもう記されていて、結果は不合格なんです。

この受験を通して父と娘が得たものは?

それは私が生徒たちに得て欲しいものと一緒でした。

受験の先にある結果というのは通過点の一つでゴールではない。そこを目指す努力の過程とそこを目指して強くしていく心持ちも(こそ)大事だ。それらを糧に今後へつなげていくという大きな良い機会だ。

この作者の父親と違って表現が拙いので文字にするとどうしても普通感出てしまいますが、私はこの本からそんなことを感じました。

娘はもちろん、父親はこの受験(指導)体験で人生が変わったといいます。本のベストセラーになったとかドラマ化したとかは全部オマケでしょう。

父親が一番大きく変わったのは恐らく「心持ち」でしょうね。全力で取り組んだ経験がいい形で花開いたんですよね。

私が中学受験指導を実際にしていたから親近感を持ってより楽しく読めた部分あるかもしれませんが、この本は強くオススメです。

ウチは私立中受験しないから関係ない本だ・・じゃないんですよ。子を想う親の魂の戦いの戦記なんですよ!

小中学生を持つ保護者の方には是非読んで欲しいなと思いました。

興味持たれた方は具体的な受験指導内容部分は斜め読みをしながらでも、父と娘の魂の戦いをご覧になることをオススメします。

下剋上受験-両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
桜井信一
産経新聞出版
売り上げランキング: 16,181

さ、今週からドラマを録画して見ることにしてみますヽ(^o^)丿

今日はこのへんで。

それでは。

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國立拓治

愛知県岩倉市と兵庫県伊丹市にあるさくら個別指導学院の塾長。2005年より愛知の中学生親子の力になれるよう当ブログを日々更新。月間最大50万PV。拙著「くにたて式中学勉強法」は12刷重版!著書累計は6万5千部突破!休日は余談も発信!3度の飯より飯が好き。詳しいプロフィールはこちら。