昨日の続きで書いてます。
中学生向け基礎レベル市販教材を比較してみようという企画ですね。昨日はエントリーの教材をざっと紹介しました。
先週も書きましたがまずは選ぶ上での前提を。
●中1数学の教材
●すでに中学で数学の問題集を1冊貰っている状況
●勉強が得意ではない生徒が使う
こんな前提を踏まえて選んでいきます。
私が選ぶ上で重要視していく部分も書いてみますね。
●要点説明がシンプルで丁寧
●問題数は少な目
この2点を踏まえて1冊ずつ見ていきましょう。普通の客と思ってストレートに書いていきます!
1.わからないをわかるにかえる中1数学(文理)
塾用教材も発売されている文理さんからの1冊です。この表紙は印象的ですよね。黒で行きましょうと決断したのは凄いなと。
中身はですね、少々情報が多いなと。生真面目にあれもこれもと1から10まで説明したいという優しい気持ちが紙面に出てしまってます。
しかし、前提にも書きましたが、子どもたちは問題集をすでに1冊持ってますし、教科書もありますから、少々説明が過剰かと。
オールカラーを売りにしてますが、それが逆に紙面をゴチャつかせてしまってるやもしれません。
解答解説が別冊になっている部分は好感持てます。やる気があってある程度理解力がある子におススメです。
2.中1数学をひとつひとつわかりやすく。(学研)
学研プラス
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市販教材の王者「学研」の商品です。結論から言うとですね、悔しいですが良くできています!(´▽`)
まず紙面がシンプルでスタイリッシュで可愛げもあります。説明は最小限。問題数も抑えてある。2色刷りで見やすく、そのうえ緩いイラストが入ってて親しみもある。
やわらかな手書き風フォントを多用しながら、スタイリッシュなカタカナフォントも。
やる気満々の中学生ばかりが取り組むわけではありませんからね。むしろ逆でやる気薄い子の方が多いはず。そんな子たちに向けて紙面の見た目にしっかり気を配るところとかさすがだなと。
内容は全てを網羅せず絞り込まれています。タイトル通り「ひとつひとつわかりやすく。」することに心が配られているところに好感が持てます。
解答解説は別冊もポイント高い。
とどめはですね、解説の無料動画がYoutubeにあがってます。これは強い。
実際見るかわかりませんが、今の子にとってYoutube動画を見ることは呼吸をするのと同じレベルで日常であることが多いです。
そして、この教材を手にとる中学生たちはそんな子たちが多そうです。山場である覚える部分にどれだけ心が配られているか。ここが差が出るポイントかなと。
基本から取り組むべき中学生たちを想定して作りこまれています。
学研の横綱相撲を見せられましたね。つまらんですね。売れてそうな教材がやっぱり良くできてるなんて(;・∀・)
ケチをつけるなら、動画への導線はQRコードとか利用したほうが良かった点でしょうか。
やる気も湿ってて、理解力が弱い子にもお勧めです。
3.とってもやさしい数学中1(旺文社)
旺文社
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書店ではとても良いところに陳列されていました。
他に無いこの教材の特徴は、とてもページ数が多いという点です。
とってもやさしくするために1ページに掲載する文字数が抑えられています。シンプルな紙面は好感持てます。でも、しっかり言葉を尽くして伝えたい。
この矛盾を解消すべく、ページ数が増やされています。他の教材が120ページ前後なのが多い中、この教材は230ページありますね(´▽`)
だからといって見た目をぶっとくするわけにいかないので、ものすごく薄い紙に印刷されてます(^^)
心配りを感じますが、ペラペラとめくってみればそのボリュームは一目瞭然。後は果たしてこの量に取り組む本人が心を折らないかだけが心配ですね(^^;)
解答解説が別冊じゃないのはマイナスポイントです(各ページ下部に掲載だった気がします)
総じてまずまず。本人が気に入ればアリです!
4.スタつま(くもん出版)
くもん出版からのこの教材、昔からあったシリーズの新装改訂版みたいです。公文さんらしく計算だけを取り上げて作られています。
公文さんらしく掲載問題数がとても多いです。慣れて無意識で九九のように解く展開を目指させたいのでしょうか。
解説は最小限。少々少なすぎるような気もしますが、公文メソッドなのでしょうか。紙面も見やすく好感持てます。
大きな問題点として、この教材を使いこなせる生徒ならば、学校で配付される教材も使いこなせるように思います。
ライバルは学校教材になりますかね。計算が安定しない理解が浅めの子には勧めることができます。取り組むなら定期テスト前と夏休みとかが良いですね。
是非書店で紙面を見てみてください。
5.ホントにわかる中1数学(新興出版社)
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こちらも2013年から出ているものを昨年新装改訂したようです。これ、いいですよ。
シンプルで見やすく問題数が絞られている。解答別冊で、解説動画も完備。紙面のシンプルさは学研を上回ります。
動画も見たいページをスマホアプリのカメラでかざせば解説動画がスタートします。(改訂前のバージョンの動画↓)
この教材も勉強が苦手な子はもちろんなこと、やる気が湿っている子も想定して、伝える内容を絞りまくって作られてます。
これで基礎が身に着いたら、学校配付の教材に移ればいいですからね。これいいですよ。
短所はインプットの部分がなぞり書きになっていて、ちゃんと覚えるべく頭が動くかどうか少々不安な点です。
また、動画は丁寧ですが人物が出てこない淡々と教材に書かれたものを読み上げるものだという点です。
とはいえトータルとても良いと思います。勉強が苦手でやる気が湿った子に対して、基礎のみやらせたいときにはこれですね。
6.ぐーんっとやさしく中1数学(文英堂)
キャラクターを散りばめて可愛らしくキャッチーに作られていますが、内容は簡単にし切れていないなという印象です。全てを伝えたくなっちゃった感じでしょうか。
タイトルは「チョットやさしく中1数学」の方がいいかなと(´▽`)
オールカラーが逆に見づらくなってます。色分けが多く騒がしい紙面ですね。
どうでしょう?私はこんな風に感じてしまいましたが、ちょっと立ち読みで見てみてほしいです。
7.とにかく基礎中1数学(数研出版)
チャート式で有名な数研出版です。背表紙にも「チャート式の」なんて文字が書いてありました。チャート式ブランドを前面に出したいんでしょうね。
可愛らしい表紙で「とにかく基礎」なんて書いてますが…いやぁそんなことない。
紙面は確かに基礎的な問題が並んでいるでしょうか。ただ、「とにかく基礎」をやるレベルの生徒に合わせた工夫は私には感じられませんでした。
「とにかく基礎」に絞り込めず、全部を盛り込もうとしてしまっているように感じましたね。
勝手な推測ですが、「簡単な内容の教材が売れているみたいだし、うちでもカワイイ感じで作ってみるか!」ぐらいのテンションなのかなと。
表紙のやわらかさと内容に少々ギャップを感じました。あのカワイイ河童は戦闘力高いです。気をつけてください。手にしている三角定規は鋭利な刃物です(´▽`)
この教材は勉強への気持ちがあって、ある程度理解力がある子向けですね。
以上です。いち消費者として好き勝手書きました。見てみた感想を踏まえて私がおススメする「中学生向け基礎レベル市販教材」は・・・
比較した結果、学研と新興出版社をおススメするよ!
このどちらかがおススメです!
大きな決め手は解説動画ですね。繰り返しますが、私たちがテレビを見て育ったように、今の子はYoutube動画を見て育っている子が多いです。
市販教材の肝はインプットの部分。インプットをいかにしっかりやらせることができるかどうか。そのために動画を準備して動画で理解するという選択肢も用意しているというのは大きいなと。
そしてこの2冊は基礎の基礎だけに絞り込んで、問題掲載数が少ないです。これでいいんです。理解することが目的です。演習は学校でもらった問題集をやればいいです。
もしも我が子の理解が浅く、市販教材をやらせて様子をみたいとなれば、この2冊をおススメしておきますね。
もしもうちの甥っ子に1冊買うならば…学研かなぁ。最後の決め手は「動画に人が出てくるから」ですね。勉強が嫌いな子にとっては人が出てくる方が良いかなという想像です。
注意点としては誰でもかれでもこの2冊が良いとは思いません。その子の理解度とかやる気の具合で他の教材が良い場合もあります。
今回は「勉強が苦手でやる気も湿りがちな子」を想定して選びました。
この記事の紹介をふまえて、また書店で実際に選んでみてください。
市販教材に取り組む時の注意点
最後にお母様方に市販教材をやらせるときの注意点を3点伝えさせてください。
まず1点目。購入して「買ったんだからやりなさい」という言葉がけだけにならぬよう、実行の補助をしてあげてください。(中1生は特に)
大まかにやるペースとやる時間を決めて家庭で一緒に実行を見守って下さい。
例えば、「週末日曜の午後8時から」とか、「平日に学校の宿題をやる前に1ページ」とか、具体的に取り組むタイミングを決めると良いですね。
市販教材は継続して取り組むのがとても難しいです。まずは半分進めることを目指して親子で進めてみてください。
手が出せるうちはインプット部分は助けてあげてもいいです。
2点目。苦手を無くすために購入する教材ですから、全て取り組むことにこだわらないでください。
学校から1冊配付されていますし、学校の授業とその教材で理解が出来ている単元はそれでいいです。「せっかく買ったんだから買ってきた教材もやりなさい」なんていうのは本末転倒。
忙しい中学生にとって時間が一番貴重ですからね。理解している単元に関して、もったいないからと簡単な教材に取り組んでいる時間こそが一番もったいないです。
最後の3点目は理解の度合いです。国語の力が弱くて情報をキャッチすることが苦手ならば、市販教材で理解を進めるということが学年と共に難しくなってきます。
理解の度合いが低いと感じたら、塾や家庭教師など人に直接学ぶ手段を検討してください。
例えるならば市販教材は市販薬で、塾や家庭教師は病院の医者です。「市販薬で快方に向かわなければ病院に行く」といった風に思っていてください。
以上です。久々に5千文字の記事です(´▽`)
参考になるといいです。
今日はこのへんで。
それでは。
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國立拓治
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