連休に入る前の教室でのことです。
いつもの連絡伝達の時間を使って生徒たちに勉強に関することを伝えようと、私は伝える内容を考えていました。
「勉強に関する大切なことを伝えるならば一番最初はこれしかないだろう」と、いつものように「しっかりと睡眠をとること」について伝えました。
いつだって私が勉強法について話すときは一番最初の大事な事項として、万全の体調を整えることを伝えるようにしています。
「そこから話すことって珍しいですよね」なんて大和出版の竹下さんにも言われましたから、珍しいことなのかもしれません。
学生時代には睡眠時間を削って遊んでいた日々であった私が、今や「睡眠時間をしっかりとるように」という側に回っているわけですが、どこかにその転換点があるはずです。
どこがこの意見の転換点だったのか?
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あぁ、多分あの出来事だわ。
転換点となったであろう出来事が思い当たりました。
1996年の9月頃だったと思います。当時大学4年で就職活動を終えて日々遊んでいる頃でした。
内定をいただいた愛知県内の学習塾の中から熱い感じの中堅塾に就職を決め、その塾で9月にあった初めての内定者研修だったように思います。
なにか内定者向けの特別な取り組みというわけではなく、「中3生向けの進学説明会」に参加をして現場を見ることがその研修内容でしたね。
その日私は2日ほぼ徹夜の状態でした。なんてことない、当時の友人たちとなんかどうでもいいことして遊んでいたように思います。
「学生というのは無茶をするものだ」「寝る間を惜しんで遊びたい」といったところでしょうか。社会人として扱われるその日にそんなコンディションとか、どうかしてますよね。
塾の進学説明会会場である江南市民文化会館を目指し、眠い目をこすり名鉄犬山線に乗り込んだのですが…
気が付くと軽く寝過ごしています(+_+)犬山まで行ってしまったように思います。
当時携帯を持ち始めた頃だったでしょうか?慌てて塾に電話をするのですが、誰も出ません。そりゃあ社員総出で出払ってますよね。連絡が付かないわけです。
最悪な状況のまま遅れて江南駅近くの会場に到着。まだ入社前の内定者の1人ですから大きく叱られることはありませんでしたが、忌々しい新人ですよね。デビュー戦から遅刻登場。
「早くいけ」と背中を押されるように席に着いたように思います。
遅れてしまったもののホッと一息。しかし、安堵もつかのま、私の頭上を黒い影が旋回し始めました。
睡魔です。極悪な顔つきで隙あらば襲ってやろうと私を見下しています。
奴らにやられるわけにはいきません。私はすでに電車を寝過ごして遅刻登場の忌々しい新人です。寝落ちするわけにはいかないのです。
必死で手のツボである合谷を強く押します。
一時目を覚ますものの、睡魔の魔力の大きさに押されています。まぶたがとはこれほど重いものか?
仕方ありません。次の手段は二の腕の内側をつねる作戦。二の腕の内側はうすい皮なのか、ここをつねると激痛が走ります。
強くつねると次の日にアザになったりするほどのところですが、背に腹は代えられません。力の限り左右の二の腕の内側をつねりまくりました。
これは効きます。強烈な痛みを代償に睡魔を一時遠ざけることに成功です。
「よかった!これで何とかしのげるかも・・・」なんて思っていると、進学説明会の壇上のスピーカーは見慣れぬ方に変わることに。
どうも高校進学説明会ということで、近隣の私立高校の進路指導の先生が招かれていたようなのです。
招かれていたのは愛知県下で5本の指に入る私立進学校「柿学園(仮名)」の先生です。
おおお、凄いところから先生にお越しいただいたんだな。これは保護者も嬉しいだろうなんて思っていたのですが、そう思ったのは最初の一瞬だけ。
この柿学園の先生の話が超絶つまらないのです。
こんなことなら塾の先生が同じ話をした方が100倍良かったでしょう。
みるみるうちに柿学園の先生の背中からとても大きく邪悪な睡魔が召喚され、その睡魔が大きな鎌を振りかぶり私の元へ一直線に飛来。
「あぁ、やられる!」そう思った刹那、私は記憶を失いました。
ところどころで意識が戻ります。柿学園の先生が召喚した睡魔と戦い続けたのかもしれません。
外見からしたら、ウトウト・・・はっ!、ウトウト・・・はっ!といった状況。
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どれだけの時が経過したのでしょう。進学説明会が終わりました。
私はどれだけの時間を意識を保っていられたのかはわかりません。
しばらくすると会場の中から社長がやってきました。私を見るなり社長は私の肩をガッと掴んで・・
「眠そうだったな」
持たれた肩は強く揉むような感触だったような気がします。
後に私は内定者研修デビュー戦から「遅刻&グー寝」をしたやべぇ奴という称号をいただくことに。
後日社長に「どれだけいい行いを重ねたとしても、ああいう振る舞いで一気にゼロだからな」なんて叱っていただいたことを覚えています。
睡眠不足で自分の身体のコントロールを失った中で一番苦い思い出ですね。
くそ~。柿学園め(逆恨み)
私が今生徒たちに「しっかり睡眠を取らないとろくなことにならないよ」としつこく言う言葉の裏には、こんなエピソードがあるんです。
生徒諸君、しっかり寝るんだよ。睡眠をしっかりとって、長生きをすれば、総じて遊んだりして活動する時間は長くなるからね(^_-)-☆
私が睡眠をしっかりとるようにと口うるさい理由について、思い出話で書いてみました。
ちなみに、私の肩を強く握った社長は、のちにゴールデンタイムのテレビ番組でお金のタイガーとして活躍されるのはまた別のお話。
今日はこのへんで。
それでは。
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國立拓治
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