OFFの余談で書いてます。昨日の続きですね。
思い切って行くことにしたハワイのすし匠という有名店。
入店して奇跡的に大将の目の前の席に案内されたところまでが前回の話でした。
心臓の高鳴りを感じます。心の中では「まじか」を何度も唱えてました(^^;)
「どっちの席がいい?」なんて平静を装い大田先生に聞いてみると、どっちでもいいよとの返事だったので、瞬時に考えました。
えーっと、海外の人たちにも江戸前の仕事を良く見てもらえるようにと、職人の手元が見やすいように板場が設計されているとか。
だからこれは…包丁を握る右手、シャリを手に取る右手に近い席の方がより特等席だろう。
包丁さばきや握る所作を見ても良し悪しなどわかるわけないんですが、大将の向かって左側の席に座ることにしました。
んー素晴らしい景色。これ、朝に行ったクロムウェルズビーチより良い景色ね(^^)
それにしても夢のような席です。「どうしてここに座ることができたのだろう?」と左右のお客さんを見渡してみる。
んーなるほど。なんだか納得。
左側の4人は海外のお客様2人組が2組。英語が堪能な若手と現地スタッフがサポートする席だ。
右側の4人は4人連れ。寿司を楽しみながら4人での会話を楽しむであろうお客様。
残った私たち2人は、6カ月前の予約解禁日の解禁時間に電話をかけてきた2人組。
この店に期待をしてる感が溢れ出ちゃってますよね。2人なら大将との会話もしやすい。
これらを踏まえるとこの日は私たちは正面2席に座るべくして座れたのかもしれません。この幸運に感謝。
すし匠というお店はつまみと握りが交互に出てくるお店です。
かなめである握りはカウンター全員分、大将がネタを切りつけて握ってくれて、両サイドのお弟子さんがつまみを中心に作ってくれます。
なるほどなぁ。分業なんだなぁ。チームなんだなぁ。
「こちらはサンタバーバラで獲れたウニです。ここで獲れたウニは昆布を沢山食べててね、旨みが凄いんです」
アメリカで獲れる魚介を中心に使っていて、大将の1つ1つの説明がとても興味深かったです。
「サーモンはね、長い川で産まれたやつが美味しいんです。なんでかって言うとね、その長い川を上る栄養を蓄える必要があるからなんですよ」
「アメリカやカナダには長い川が沢山あるんで、美味しいサーモンが何種類も取れるんです。私もこの年でサーモンを握ることになるとは思いませんでした」
寿司として握られてきた暦の浅いサーモンは日本の回らない寿司屋では邪道とされてますからね。だからこんな風におっしゃるんです。
そういうの全部取っ払って、美味しい寿司を創ることに取り組まれてきた方なので、この店でサーモンが出てくることを不思議には思いませんけどね(´▽`)
1枚だけお寿司の写真を撮ってきました。とろたくで通称「おはぎ」。この店の名物だとか。観光名所の記念撮影の如くパチリ。もちろん美味かった(´▽`)
時間が経ってお酒もまわってきて、私も緊張がほぐれてきたこともあり、だんだんと大将とお話が出来るようになってきました。
私は頃合いを見て大将に話しかけました。
「大将、僕はまだ寿司屋のこと何もわからなかったときに、大将の書いた人間力の本、買って読んで寿司についていろいろ学んだんです」
「だから、寿司を学んだ本を書かれた大将の目の前に座って、こうして大将のお寿司を食べることが出来ていることがとても嬉しいです」
そこから、私は聞いてみたかったことを質問してみました。
「元もと寿司職人は50歳で引退されるつもりだったと何かで読んだのですが、どんなきっかけで50歳過ぎても続けて仕事をされることに決めたのですか?」
大将は話してくれました。
「50歳で辞めることはできたのですが・・無責任じゃないかと感じるようになりましてね」
「今の寿司の業界というのは、寿司人気が一気に世界に広がってとても危険な状態だと思っているんです。レバ刺しの事件ありましたでしょう。あの時のように1件の事故で全てがダメになるような危険性をはらんでいると思うんです」
「見よう見まねで握っているだけの外国人がそんな事件を起こしてしまうかもしれない」
「そんなことにならぬよう、この安全に食べることができる江戸前寿司の仕事をしっかりとこれからの若い人たちに、海外の人たちに伝えていかなくてはいけないと思ったんです」
「この寿司職人と言う仕事は25歳ぐらいから45歳ぐらいまでが体力的にも全力を出せるピークじゃないかと私は思っています」
「山を登るように寿司の世界を高めていって、山の頂上付近で引退をするっていうのも美学としてありますが、私はこれからの若い人たちに山の降り方まで見せていきたいんです」
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私はこれらの大将の言葉を聞いて、思わずつぶやいてしましました。
「うわぁ・・大きい」
私は前日に本を読んで勝手に思っていたんです。大将は見たことも無い魚たちを試行錯誤をして皆に喜んでもらう寿司にすること自体が楽しいのかなと。
ハワイでの仕事をしばらくしたら、まだ見ぬ魚を握ることを楽しみにしてまた別の地にすぐに行くのかなと。
見当違いも甚だしい。
自分のことではなく、寿司業界全体のことを考えて、世界で寿司を握る人たちのことを考えて、世界で寿司を食べる人達のことを考えて、自分にできることを取り組んでいくというとても大きなスケールの話でした。
そうか。これか。こんな人柄。周りの人の幸せを願い自ら行動ができる方だから、ミシュランの星をとった弟子が戻ってきてくれて店を手伝ってくれるんだ。
大将の人柄も含めてすし匠の魅力なんだ。
40歳半ばのペーペーの私が人生の大先輩について分かった風にいろいろ言うのは失礼にあたるのかもしれませんが、私はお話を聞かせてもらってこんなことを感じました。
自分も塾講師ピークをそろそろ抜けるでしょうか。体力落ちて行くここから、塾業界のこれからの若い人たちのために自分も何か出来たらいいなと思いました。
いただいた美味しいお寿司より、美味しいお酒より、大将に聞かせていただいたお話が一番感激しましたね。なんだかいろいろご馳走様でした。
「大将、一緒に写真撮っていただけませんか?」
快諾いただき店の前での記念撮影。まさか寿司職人の方と一緒に写真を撮りたいなんて思う日が来るだなんて思いませんでした(^^)
またハワイに行くことになれば、この大将に会いに、この店に行きたいと思います。
「すし匠の大将の正面の席に座らせてもらえた」という奇跡によってとてつもなくデカい運をここで使い果たし、次の日に天候不良で陸の孤島になった成田空港で大混乱に巻き込まれたお話はまた別の機会で(^^;)
今日はこのへんで。
それでは。
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國立拓治
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