冬期講習中、ある中1の子が自習に来ていました。
まだまだ幼いその子は、勉強が基本的に嫌いです。
必ずデュエルマスターズというカードゲームのカードを持参してきていて、休み時間のたびにウットリと見ています(^^;)
「今すぐ役立たない勉強は嫌い。今すぐ楽しいカードゲームは好き」ってなものです。欲望に真っ直ぐです。
気持ちはわかりますよ。皆がどこかでそう思ってますよ。
さて、そんな彼が持参した学校の英語のプリントを暗唱しようとしているようです。「お母さんに自習で覚えてくるように言われた」とのこと。
どうも1日の生活について時系列で説明する文章で、フォーマットに沿って自分用に作り直し、それを授業中にスピーチのように話すことを目指すもののようです。
これを暗唱するのですが・・・ノートにその文章を何度も書いています!?
「ちょっとまってちょっとまってお兄さん」と死語が出るぐらい取り乱しました((+_+))
これは「覚え方を知らない」か「覚えるつもりがない」か、その両方か。高い確率でその両方ですね。
声をかけていきましょう。
「このプリントを覚える必要があるんでしょ?で、そこまでノートに書いたけど、覚えたんか?」
「覚えていません!」
ハキハキと絶望的なことを言うな!(;・∀・)
「この文章は読めるのか?」「読めません!」
ハキハキすな。
「この文章は訳せるのか?」「訳せません!」
ハキハキすな。
「読めないものは覚えれない。訳せないものは覚えれない」と教えてあげて、まずは暗唱を始める前までの下ごしらえを。
読ませてみて読めない単語の読み方をカタカナで書かせておきます。そこから訳させてみて訳せない単語の意味を教えてやります。
これで一通りの下ごしらえ完了です。幸い一日の自分の生活について説明するスピーチなので、自分の朝起きてからの出来事を思い出しながら、覚えた英文を言っていけば良いです。
「試しに俺がやってみよか?ちょっとお前このプリント見てて合ってるか確認してな」
彼の目が好奇心に満ちた目に変わってきます。「え、僕が先生の先生?」なんて優越感でしょうか。
「ええっと、ハァイ、マイネームイズタクジ。プリーズリッスントゥマイスピーチ」
「でー、あ、そうだそうだ。アイゲラップアットセブン・・・で起きたから・・」
「アイウォッシュマイフェイス、アンド・・なんだっけ?」
時系列で追いながら思い出しながら、ブツブツ言いながら覚えるんだよと実演を。
ここまで来た時の彼の目は好奇心に溢れ、デュエルマスターズのカードを眺めるときの表情に近いものがありました。
「そうやって覚えていくのか!」というのを感じたのでしょうか。「先生もそうやって覚えていくのね」と親近感を沸かせたのでしょうか。
「わかりました」と彼は楽しそうに覚え始めました。
少しして彼は4文ぐらいを速攻で覚えました。楽し気で誇らしげな表情でしたね。
「そうそう、この調子。ほれ、この調子で続きもやってきな」
彼のパァッと明るくなったときの表情は眩しいものでした。これを見るのも塾の先生の仕事の醍醐味だろうなと思いましたね。
・・・
・・
・
さて、めでたしめでたし、今日はこのへんでそれでは、となるように思うじゃないですか。
5分もすると・・・
なんか爪いじってます((+_+))
この一筋縄ではいかないところもこの仕事の醍醐味ですけどね!
学生の頃にキャンプのサークルにいたのですが、湿った薪に火をつけるのは大変でした。火が付くまでしっかり乾燥させて、粘り強く取り組む必要がありましたね。
これと一緒かなと。湿ったやる気に火をつけるのは大変です。火が付くまで粘り強く取り組む必要があります。
「何べん言ったらわかるんだ」なんて泣き言わず、わかるまで気持ちに火がつくまで、指導を繰り返したいと思います。
今日はこのへんで。
それでは。
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國立拓治
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