国語が苦手な生徒は社会も苦手なことが多いです。
理由は簡単。社会は他教科と比較して、教科書の記述内容から情報を得る必要が一番あるからです。
数学は教科書の文字数は少なめ、英語も教科書に日本語は少なめでアルファベットが多く、理科は教科書にそこそこ文字数ありますが、実験などの体験で理解する部分だったり、数学的な単元も多く、教科書を読んで覚えるという部分は少なめです。
そんな中、社会は教科書の記述が全てですから、文字数が多いです。教科書に書いてある内容がそのままテストに出るので、教科書を読んで覚えることが必要です。
こんな教科の特徴がある社会ですから、国語が苦手な生徒は社会が苦手なのです。
国語なんて表現しましたが、端的に言ってしまうと「語彙」ですかね。社会の教科書で使われている多くの言葉を知らなくて、書いてある意味をキャッチ出来ないのです。
ある程度文章に親しんでいる子であると、知らない言葉が出てきたとしても、熟語に使われている漢字だったり前後の文のつながりで「言葉の意味は知らんけど、こんな感じの意味なのかなぁ」なんて想像しながら読み進めることが出来るんですけどね。
これも出来ないとお手上げです。英語を習い始めた中1の子が英問英答の問題を解かされてるようなものです。
昨日は歴史のワークに取り組む前に教科書を読むということに取り組む生徒を見つけました。手順は最高です。まずはさっとインプットしてから、アウトプット。いい流れですよね。
しかし・・・この生徒、国語がとても苦手なんですよね。この生徒が教科書を読むことでどれだけインプットが出来ているのだろうかと気になり、ちょっとお願いをしてみました。
「ちょっとこのページで意味がわからない言葉に印つけてもらっていい?」
「え、いいですけど、キリないですよ?」
「いいよいいよ。ひとまず全部つけてみて。教科書の内容がわからなかったら、先に読む意味が薄れちゃうじゃない?どれぐらい読めるか知りたいんだ。印をつけたその中で大事なものは教えるから。」
しばらくしてその生徒が教科書を持ってきてくれました。おおお!!
印をつけてもらったものを私がそのページをコピーをしてマーカーで塗り直したものです。(東京書籍・新編新しい社会歴史216ページ)
ある程度予想はしていたが目の当たりにすると迫力ある!!心境としては、消防車一台で駆けつけた火事現場が、見渡す限り燃え広がる山火事であったときの消防士の心境です(゚д゚)!
もしくは、テレビドラマでよく見るシーンで、身体が悪いと知りながらギリギリまで病院に来なかった主人公が医者に叱られるときのセリフ「どうしてここまで悪くなるまで放っておいたんですか!?」です(^_^;)
印をつけてもらった言葉がわからない状態で教科書を読むという状況をもう少しリアルにしたのがこちら。
まずもって太字がわからない。そしてその太字を説明する文章がわからない。総じて内容はわからない。
その生徒は一生懸命やるので気合でテスト前に覚えていますが、覚えた知識は基本的にその場限りの短期記憶の集まり。「なぜ」の抜けた表面的な記憶は急速に忘れ去られます。
運良く定期テストで結果を出せても、範囲全ての入試では苦戦必至です。
苦しいですよね。国語・語彙の大切さ感じてもらえますか?
ちなみに他の子にも聞いてみたのですが、あまり得意ではない他の子はこんな感じでした。
語句の意味は正確にはわからないけど、漢字を見て内容の当たりをつけながら良い意味なのか悪い意味なのかを想像で補って、ある程度読んでくれてました。
それにも限界ありますけどね。凶作は「なにか作ること?」なんて言ってましたし(^_^;)
社会の内申が4の子にも聞いてみました。こちら。
最初の子が印をつけた言葉を1つ1つ聞いて確認したのですが、「『慣例』は習慣みたいな感じ」
「『凶作』は作物が取れないこと」なんて、説明をしてくれました。
唯一、『慢性的』を「超絶みたいな意味?」と意味自体は間違えましたが、文脈から想像したらしく、当てはまる意味ではありますよね。致命傷には至りません。
言葉を知っているというパワーを実感しました。ちなみにこの子は本を全く読まないそうです。あぁ、国語って大事。語彙って大事。
さて、最初の生徒についてです。
「教科書を読んで、読んでもわからない語句は調べるか人に聞いて、それから問題演習をするように」
とは生徒たちに伝えてきていますが、この生徒の場合、わからない言葉を聞くという作業をこの量を本気でやったら、語彙の勉強だけで時間が過ぎてしまいます。
この状況をここからどうするか。生徒と相談をして対策をしていきたいと思います。
考えた対策を明日書いてみますね。
今日はこのへんで。
それでは。
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國立拓治
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