前回までのあらすじ
未来を変えるため50年後から来たという自分自身から勉強を学ぶことになった、岩倉中学3年サッカー部の拓海。学校帰りに大矢公園で教わることに。タイムリミットは7日間、爺さんと拓海の7日間勉強が始まる。
「お前に勉強のやり方を教えるのになんせ7日間しか無いじゃろ。そのことはわかっていたから、わしはその勉強法の要点を7つにまとめておいた」
「本当はな100も200も大事なコツを伝えたいのだが、時間もお前の集中力もそんなにない」
「本当に大切なことを7つに絞って、その1つ1つに対するポイントも3点までにまとめた。最大で21ポイントじゃ」
爺さんは早口で時間を惜しむように喋りだした。しかし拓海はどうしても気になる点があって言葉を挟んだ。
「なあ、爺さん。爺さんの正体は俺だから遠慮なく言うけど、後悔ばかりの人生を歩んできた爺さんがどうして正しい勉強法を知ってんのよ?」
「そんなこと知ってたら爺さんが若い時に実践すればよかったんじゃね?俺は爺さんの言葉を信じて大丈夫なのか?」
苦笑をしながらうつむき加減に首を振った爺さんは、一息ついて大きく目を見開いて言った。
「良い質問じゃ。さすが俺。本題に入りたいから手短に伝えるぞ」
「わしは人生の半ばから学習塾で働き始めて、あらゆる学力の生徒を1000人以上指導してきた。そこで勉強が得意な生徒たちの共通点を見つけて学んだんじゃ」
「勉強法に関する書籍も読み漁った。学習塾退職後も図書館に通って読み漁った。そしてわしは勉強のコツを掴んでいった」
「それらを自分で実践してみるにはわしは歳を取り過ぎた。過去の自分に会いに行って教えた方が早い。そう思い、全て今日の日のために活動してきたんじゃ」
「これから伝える7つの内容は文字通り俺の人生をかけて研究して厳選した勉強法内容だ。これで少しは聞く耳を持てるようになったんじゃないか?」
爺さんの言葉に説得力が宿るのを感じる。ただのみすぼらしい爺さんが急に仙人のように見えてくる。勝手なものだ。
「今みたいに気軽に疑問は聞いてこい。勉強もサッカーも力み過ぎはマイナスじゃ。遠慮なく突っ込んでこい」
「そろそろ本題じゃ」
習慣1 毎日絶好調を作る!
「今日伝える一つ目の内容は勉強法全体において最重要じゃ。全体を100%とするとこの習慣の重要度は30%を占める。この重みを感じて聞け」
一息入れて爺さんが口をひらく。
「1つ目の内容は『毎日絶好調を作る』。身体を整えろということじゃ」
「ぉお!?勉強の内容じゃねーのかよ!そんな関係無いこと言ってねーで勉強内容について早く教えろよジジイ!」
「んー良いリアクションじゃ。単純極まりないが、早く学びたい想いの表れと取ろう。たわけ者の俺よ、よく聞けよ。そんなことを言うカス野郎こそ、この1つ目が出来てない」
「よく聞け、庶民拓海よ。わしは勉強ができる子たちを沢山見てきたんじゃ。勉強が出来る子たちはいつも身体の調子が良くていつも明るく元気じゃ。例外もいるが大半そうじゃ」
「・・・さて、それはなぜじゃ?」
一拍置いてから爺さんは言葉を続ける。
「それは日々体調を絶好調にしておくことの大切さをその子が知っているからじゃ」
「もっというと、その子の親がその事実を知っているからじゃ。小さな頃からずっと体調を整える生活を送らせているんじゃ」
「お前もサッカー部の試合の前日は次の日に備えてしっかり食べて早く寝ただろ?最高のパフォーマンスを次の日の試合で出せるように」
「クソ大事なこと言うぞ。勉強が出来るやつの親はそれを小1から毎日子供にさせてるんだ。勉強も運動も最高のパフォーマンスを毎日出せるようにだ」
小1から中3の1学期まで365日×8年で約3000日。1日1個のことを覚えていったら3000日で3000個覚えることに。
体調が絶好調の子で8年間3000個。それを体調が万全じゃない子が1日に絶好調の子の80%のことしか頭に入らなかったとすると3000×0.8で2400個。
寝不足などがたたって1日に絶好調の子の60%しか頭に入らなかったら3000×0.6で1800個。
体調だけでこれだけ差が出るということを、爺さんはこんなふうに数値に例えて俺に伝えた。
「こうやって数字で例えるとリアルだな。爺さん、ヤベー。俺は多分その例えで言うと1800ぐらいだぞ」
「わかっておる。ちなみにそのまま生きていくとさらにひどくなるからな。ここで食い止める。勉強が出来る奴らと同じ体調を手に入れる」
「毎日絶好調を手に入れるための具体的な3つの作戦を伝える。拓海でも今日からできるように簡単に伝えるからな」
作戦1 日付変わる前に寝る
「日付変わる前に寝ろ。表現変えれば12時までに寝ろということだ。これで睡眠時間を確保する。睡眠時間7時間半から8時間を目指して寝ろ」
「中学生にとっての最重要ポイントは早寝1点だ。朝は部活の朝練があるから嫌でも早起きするからな」
「諸事情あって寝る時間が削れても最低6時間にしろ。諸説あるがここを守れないと翌日のパフォーマンスはがた落ちする」
「サッカーの試合であれば、開始5分で監督に動きが悪いことがバレて交代させられるレベルじゃ」
「これは今日から出来る。簡単に出来るが、簡単に破られもする。これから1週間で守れなかった日を数え、その日数を増やさないように取り組め」
「爺さん、今日はアメトーク深夜の日なんだ。この番組見ると日付超えちゃうんだけど、録画して週末見る感じでいいか?」
「それでいい。なんでも撮っておけ。するとな、実はそんなに見たくない番組があることがわかるんじゃ。休日の時間を割いてまで観たい番組じゃないのは見なくなるようになる。そうやって見るTV番組を減らしていくんじゃ」
作戦2 朝食を食べる
「朝食を食べろ。朝にしっかり栄養を蓄えて活動を始めろ。迷ったらバナナ食っとけ。安くて栄養満点。バナナは朝食界のファンタジスタじゃ」
「爺さん、知っての通りうちは家族みんながずーっと朝食を食べなかったから母さんが作らなくなっちゃってるよ。どうしよう?」
「母さんに頼んでみろ。朝食を作ることを渋られたらバナナをねだれ。バナナ食っときゃ昼まで持つ。昼まで持てば給食でバランス取れた栄養を補給できる」
「朝食を食べたか食べてないかで脳の働きは断然違う。文科省の実験結果もこんな風に出ておる」
「お前は朝飯抜きでサッカーの試合出るか?そういうことじゃ」
作戦3 1日10分運動する
「部活を引退しても1日10分は運動をしろ。運動がどう勉強に良いかを知りたければこの本を読め」
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「もしくは『ネーパーヴィルの奇跡』でググるといい。細かく言うといろいろあるが、とにかく身体を動かして脳に新鮮な血液を送りこむことが勉強の成果に繋がる」
「運動が苦手なら5分からでいい。内容も散歩でも家でストレッチでもいい。とにかく身体を動かすことはマストだ」
「お前の時代なら今の流行りはビリーズブートキャンプか?カーヴィーダンスか?なんでもいい。なんかやれ」
「以上3つ。難しいことは言ってないよな?毎日がサッカー部の大会前日のように自分の体調に気を配れ。睡眠も栄養も運動も」
「今日伝えたことは勉強に限らん。一生だ。今日から始めろ。明日から朝食をとれ。運動はまだ部活あるからこのままで」
「今日から勉強が得意な生徒たちと同じく『毎日絶好調』で行くぞ。騙されたと思って毎日取り組め」
「じゃあ次の教えは1週間後だ。やってみて困ったらまた来週言え。また来週夕方、ここ大矢公園で待つ!」
爺さんは一方的に喋りつづけた挙句、一方的に歩き去っていった。
爺さんが喋りつづけた内容は確かにさほど難しい内容ではなかった。俺にわかるように俺にもできるように話す内容を調整しておいたのだろう。さすが将来の俺。
そして今の俺は爺さんにされたアドバイスのどれもできちゃいない。2時3時までユーチューブ見てしまう日も良くある。朝食は食べる日の方がめずらしい。かろうじて運動だけはしているか・・。
爺さんはひたすらサッカー部の活動に例えたが、サッカーの例えはとてもわかりやすい。
爺さん風に言うならば、この1つ目の教えはサッカー部で言うとリフティングみたいなものだろう。
まぁやってみよう。明日の俺の朝食は用意されてないだろうから、後でアピタでバナナ買ってこよう。そして母さんに次の日から朝食を頼むかな。
未来へ向けた小さな一歩を今日から踏み出す。拓海が具体的な勉強内容について指示を受けるのは、もう少し後の話。
つづく
作戦1 日付変わる前に寝る
作戦2 朝食を食べる
作戦3 1日10分運動する
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國立拓治
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