前回までのあらすじ
未来を変えるため50年後から来たという自分自身から勉強を学ぶことになった、岩倉中学3年サッカー部の拓海。学校帰りに大矢公園で教わることに。タイムリミットは7日間、爺さんと拓海の7日間勉強の2日目が始まる。
「久しぶりだな拓海。心なしか顔色が良いぞ。1つ目の教えを守って体調が整ってきたんじゃないか?」
「そう、爺さんのおかげで本当に調子が良いんだ。・・って、パンダの滑り台から降りろ。不審者全開だわ」
「教えは守れてるか?」
「なんとかやれてるよ。朝食はバナナ食ってる。母さんには俺の真剣度伝わってないわ。まぁ中学入ってからたいして会話してないし仕方ないかな」
「寝る時間はまだ日付を越えちゃう日あるけど、しっかり寝れてるから学校の授業がウトウトせずに聞けてるよ」
「うむ、上出来じゃ。実際やってみて困ったことないか?」
「あぁ、たまに昼過ぎとか帰宅後にスゴイ眠いんだけど、昼寝はしていいのか?」
「そうだな、いろいろ書籍読んでみたが、昼寝は15分までだな。それだけ寝れたら充分眠気は取れる」
「あとは5分しか休み時間が無かったとしても、目をつむり伏せるだけでも疲労回復に繋がるらしい。学校の休み時間とかやってみるといい」
「勉強が得意なやつは生活リズムがブレない。帰って来て2時間寝てから勉強するとかいう奴はただ睡魔に負けてるだけ。うまく睡魔をフェイントで抜き去って生活リズムは守るんじゃ」
「さぁ、今日は2つ目の教えじゃ。いくぞ」
「その前に滑り台から降りろって!」
習慣2 学校の授業を受ける!
滑り台を滑り降り、ベンチに座って爺さんは話し始めた。
「今日伝える2つ目の内容は勉強法全体を100%とするとこの習慣の重要度は10%を占める。本当は20%にしてもいいぐらい重要じゃ。心して聞け」
「2つ目の内容は『学校の授業を受ける』。真剣に学校の授業を受けてくるということじゃ」
「・・・爺さん、当たり前すぎてビビるんだけど、人生をかけて厳選した内容だったよな?もっと驚くスゴイ勉強法じゃなくていいのか?」
「うむ、たわけな拓海はそう言うと思っておったぞ。そういうことを言うやつほど学校の授業が聞けていないカス野郎が多いのじゃが、お前はそう言うからには学校の授業はしっかり受けているんじゃろうな?」
「じ、爺さん、それとこれとはアナザープロブレムだぜ・・」
「緩い先生の授業中は友達としゃべり、午後の授業は睡眠にあてる、退屈な授業ではノートの端にサッカーの戦術を考える。・・どうだ?思い当たる節あるんじゃないか?」
「もはや思い当たる節しか無いぜ爺さん」
「じゃあ今度は学年順位1ケタで勉強が得意な同級生を2~3人思い浮かべてみろ」
「そいつらの中に塾に通っていないやつとかいないか?または通信教材チャレンジだけやってるやついないか?」
「あー・・確かにいつも学年1位の月本は塾行ってないわ。同じサッカー部の達海は毎回学年1ケタだけど通信教材チャレンジだけやってる」
「そうだろう。なぁ拓海、なぜ月本と達海は塾が要らないんだ?『かしこいから』以外の理由で答えてみろよ」
「この話の流れからすると・・やっぱり学校の授業ってことなのか?それぐらい学校の授業が大切なのか?」
「その通りじゃ。いいか、クソ大事なこと言うぞ。勉強が出来るやつほど学校の授業をキッチリ聞いて理解する。だから普段は家ではそれほど勉強しないんじゃ」
「学校の授業をしっかり理解する覚悟で聞いているから、塾で予習をしたり復習したりする必要がない。出来るやつが塾に行ってないのはそういうことじゃ」
「そりゃあもちろん、その2人が元々勉強が得意だという部分があることは認める。だがな、学校の授業を真面目に聞かないやつに勉強が得意なやつはいない」
「教科書だけで皆が理解できるなら学校など要らんだろう。それを分かりやすくするために学校の授業がある。これを聞かないでどうやって得意になれる?」
「学校の授業をしっかり聞いて理解している生徒は、テスト勉強でいきなり問題集から取り組むことができる。内容を大方覚えてるからじゃ」
「それに対して拓海のようなたわけな生徒たち、こいつらは授業を聞いていないからテスト前に覚えるところから始める必要がある」
「やつらは100メートル走に例えるとスタートラインが50メートル地点にあるようなものじゃ」
「拓海たちのスタートラインはもちろん0メートル地点じゃ。なぁ拓海、この50メートルの差をどう埋める?」
「足が早くないんだったら可能な限りスタートラインを前にする努力が必要じゃないか?テスト前までに理解をしておく必要があるんじゃないか?」
「そのために最重要なのが真剣に学校の授業を受けるということじゃ」
前回よりも明らかに熱が入っている爺さんのしゃべり。よほど学校の授業を聞いてなかったことを後悔してるんだろう。
「爺さん、授業がどれだけ大切かはわかったよ。明日から頑張ってやってみるけど、ちょっと自信無いな・・」
「今日も真剣に授業を受けるための具体的な作戦を伝えよう。今日は全部で2つじゃ」
作戦1 通知表の「意欲関心態度欄」に◎をつける
「通知表の「意欲関心態度欄」に◎がつくように心がけて授業を受けろ。ここがお前のやる気を測る唯一客観的な評価じゃ」
「意欲関心態度欄は・・通知表の一番上の評価の欄じゃ」じいさんは通知表のコピーを見せてくれた。
「これは地域によって表記がちがうんじゃが、知っての通り岩倉市は通知表の評価は「無印、◯、◎」の三段階」
「ここの欄を◎にすることを目指すんじゃ。最低でも◯。ここの欄は学校の授業態度や提出物なんかで評価される欄」
「学力は関係無いんじゃ。一生懸命授業を受けて、一生懸命提出物を出せば誰でもマルがつくようになっておる」
「ここが無印というのは授業中に寝たりしゃべったり提出物を出さなかったりでサボっている証拠じゃ」
「ここの欄は周りの大人が助けることができない本人だけが頑張る聖域。ここが◎であれば授業に一生懸命参加しているという証拠じゃ」
「もしもここが空欄だったりするならば・・・お小遣い減らしたり、スマホを解約したりする必要があるな」
「前回も言ったじゃろ、勉強しない学生などニートじゃ。ニートに渡すスマホはネェ。拓海は切羽詰まっておる。母親に直訴しろ。次の通知表で意欲関心態度に空欄あればスマホ解約すると」
「それぐらいの覚悟で授業を受けろ。逆に全て◎を揃えたらなんかくれと親に頼んでみるのも良いかもな。アメとムチを自分で設定じゃ」
作戦2 授業を前の席で受ける
「自分の席があまりに後ろだったり周りが友達に囲まれていたりすると、真面目に授業を受けるのはなかなか難しい。普段授業を聞けてなかった生徒にとっては特にじゃ」
「だからサボりにくく聞きやすい前の方の席で授業を受けろ」
「そのために担任の先生に『目が悪いんで席替えでずっと3列目までにしてもらえませんか?』なんて頼め」
「もしくは正面突破で『サボらず真剣に授業を受けたいんで2列目まででお願いします』なんて伝えてもいいじゃろう」
「今日はこの2点じゃ。いいか、勉強が出来て通知表の評定が良い子というのは、この意欲関心態度欄が◎なのは当たり前なんじゃ」
「やつらはここを学力に関係しない最低限取り組むべき部分と思っておる。ここは当たり前で◎なんじゃ」
「ここを当たり前のように◎にしたうえで点数の取り合いをしておる。それを覚えておけ」
「今日の作戦を早速明日から実行しろ。母に通知表の結果について交渉、そして担任に席について交渉じゃ」
日没間近の大矢公園で爺さんは今日も一方的にしゃべり続けた。そして爺さんはよろよろと立ち上がり、帰り支度をはじめた。
「これで体調が整って、学校の授業もしっかり受けることになる。これだけでもう勉強の世界が全然変わってくる。これから1週間、日々の変化を感じてみろ」
「爺さん、テストが来月末にあって近づいてきてるけど、俺はまだこの2つだけに取り組めば良いんだな?」
「そう。基礎が出来てないやつにはまだ具体的な勉強法は早い。基礎体力出来てないやつがサッカーの試合90分のフル出場はキツイだろ?それと一緒じゃな」
「来週からもう少し具体的に勉強法について話す予定じゃ。で、来週なんじゃが・・」
「集合場所を辻田公園に変えようか。どうもこの公園にいる人たちの視線がわしに集まってる気がするんじゃ」
「それジジイが滑り台の上で仁王立ちしてたから!」
俺は歳とともにこんなトボケたキャラのじじいになるのか?まぁこのへんはこのままでもいいかな。
迫りくる定期テストに緊張を高めながらも、まずはじじいの教えを忠実に守ることに集中する。
俺の未来をひらくために、力をくれるジジイのために。
つづく
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國立拓治
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