「中学生との相談の仕方」の型とコツ

これまでの塾での指導において、中学生本人と勉強の取り組み方の相談をするときのことを思い返すと、いつも同じ型で話していることに気が付きました。

試行錯誤を繰り返し、失敗も繰り返し、この交渉の型が出来たのかもしれません。

この「中学生との交渉の型」はもしかしたら中学生家庭のお役に立てるかもしれないなぁと思い、ちょっとまとめて書いてみてるところです。

この型に沿って話をしてみてもらえれば、平和的に建設的に相談が出来るようになる予定です(´▽`)

自分の家庭でもあてはめられるかどうか、ちょっと聞いてみてもらえますか?

想定する場面はですね、

「塾に通っているけど勉強への取り組みがぬるすぎる」

「目指す志望校は高いけど本人の取り組みや成績と釣り合ってない」

「スマホゲームに飲まれてしまって生活も勉強も崩れてる」

といったような場面です。中学生にはアルアル場面ですね。

交渉の手順は4段階です。その手順を実行するときのコツは1つです。

書いてみますね。

中学生との相談をするときの心構え(コツ)

一番大事なのが「一人の人間として尊重して接する」と言うコツです。

中学生になるまでは保護者主導で、保護者の思うように従わせて学習指導をしてきたと思うのですが、そういったアプローチの限界が今(中学)です。

自我が芽生えてくるこのタイミングで、1人の人間として尊重をして接するように保護者のアプローチを替えましょう。

例えるならば、仲のいい友達と接するような感じでしょうか。

もしもその友達が運動不足から肥満気味だったとしても、「あなた太り過ぎだから毎日ウォーキングしなさい」とは言わないじゃないですか(笑)

このメッセージを伝えたいと思っても、もっと伝え方を考えますよね。相手の気持ちを考えますよね。このスタンスがわが子にも必要になってきます。

で、このコツを実行しながら、保護者としての想いと保護者としての最終ラインを示すことです。

保護者としてあなたのことを大切に思っている。より幸せに生きていってもらうために、今はもっと勉強をした方がいいと思っている。

保護者としてわが家として、最低限これだけ勉強してもらいたいし、あなたに自由にしてもらえるのはここまでです、と個人の自由が許せる下限(成績や取り組み)も伝えられると良いです。

「中学生との相談の型」壱の型~前提確認~

ちょっと懐かしい鬼滅っぽいタイトルにしてます。

書いたコツを胸に、実際に相談に入っていきましょう。まずは前提確認です。前提がズレたりすると相談が上手くいきませんから。

「中学出ても勉強する?」

この前提を確認していきましょう。ここで、

「義務教育はここまでだけど、あなたはこれからも勉強するの?」

「手に職をつけて早いタイミングで社会に出るという選択肢もあるけど」

と言う部分を確認するのです。

この言葉の裏には、

「義務教育を終えても勉強をするというならば、本腰いれて勉強してくれないとな」

という薄っすらとしたメッセージが子どもに見えているかもしれません。見えて欲しいところですね。

「勉強をするっていうなら家族皆で応援するけど『皆が行くから俺も高校行くけど勉強はしたくない』みたいなヌルイこと言うんじゃないよ」

と言う部分、ぜひ子どもにキッチリ伝えていきたいですね。

自塾ではこの部分の確認から相談を始めます。

だいたい生徒たちの背筋が少し伸びますね。なんとなくやれと言われるがまま勉強をしてきたけど、今後は自分の選択で勉強をするかどうかも決めていくのだなと。

ごく稀にこの質問部分で「中学出たら勉強をしない」を選択する子もいます。それはそれで受け止めて相談をしなきゃいかんですよね。

※塾で話すときには「もし勉強やりたくないなら、俺からお母さんに頼んでやるよ。勉強したくないみたいだから塾辞めさせてあげて欲しいって」なんてセリフを添えて、「塾辞めて欲しくないから必死にしゃべってるんじゃないの?」なんて穿った見方をする子供をけん制してます(笑)

「中学生との相談の型」弐の型~問題提起~

まずは引き続き勉強をするという前提を確認出来たなら、ここからが本題。

現在問題となっているところを指摘をし、ここを改善していこうという話にしていきます。

一応決めつけとならぬように、「勉強するのをやめる」選択肢は選べるようにしておきます。

「志望校は旭丘高校って言っていたけど、今の内申38で偏差値も60だよね。これでは受かる可能性は20%もないよ」

「高校の合格可能性を上げるためにはやれることは2つだけ。勉強を頑張って自分を上げるか、志望校を下げて自分に合わせるか」

「どうしたい?どうやってこのギャップ埋めていく?」

今改善すべき部分を指摘してあげてください。全ての問題は勉強するのをやめるという決断をすれば難なく解決は出来ますからね。

それも選べる中、あなたはどうしたいの?と、意向を確認していきましょう。

多くは頑張って自分を上げるという展開になりますが、今回はこの展開を想定して続けます。

「中学生との相談の型」参の型~解決策提案~

で、勉強を頑張って自分の学力を上げるという選択をしたならば、その具体的な行動の提案をしていきましょう。

保護者は自分自身の経験値もありますし、学校や塾と相談をした内容もあれば、提案がしやすいことでしょう。

これをやれ!ではなく飽くまで提案で。

「じゃあ、具体的にどう頑張るかってところなんだけど、勉強時間を増やしていこうよ。今は1日1時間ぐらいだし」

「平日2時間休日4時間は最低やった方がいいと思う。塾の先生も旭丘をこれから目指すなら最低これぐらいはやったほうがいいって言ってたし」

「あと、勉強に集中出来るようにスマホはテスト2週前から使えるのは帰宅してから18時までだけにするのはどう?」

学校や塾の意見を組み込んで、提案内容の納得性を高めると良いと思います。

ここを保護者の希望だけで、「平日5時間休日10時間はやらなきゃね、スマホはテスト1カ月前から没収です」なんて一方的にならぬようにしてください。

「中学生との相談の型」肆の型~内容決定~

最後です。目標を目指すうえでの保護者が思う作戦を伝えたところです。これに対して本人の意向を聞いていきましょう。

「それでいいと思う。次のテストはそれでやってみる」

なんて返事が聞けたならば、保護者発信の取り組みで実行していきましょう。

めでたしめでたしではありますが、これはなんならちょっと心配な返事ですよ。

「あなたの意志ある?これまで私が保護者の理想を押し付けすぎて、対等の立場で話し合うこと出来なくなっちゃった?」なんて。

本人には自分で納得して選んだ取り組みとなりますから、実行出来るように頑張ってもらうのみです。

次のテストまでというように短く区切って、実際に取り組めたかどうかを後に振り替える日を決めておくのも大事なコツですね。

さてさて、遊びたいだけの覚悟が無い子は甘いことを言うやもしれません。が、多少の甘さは目をつむって実行するのがコツですね。

たとえばこんな甘いこと言ってきます。

「勉強時間はそれでいいと思うし、それでやってみる。でもスマホは今のまま自由にさせておいて欲しい。スマホがあっても切り替えてやるから」

思わずカッとなりそうなセリフでしょうか。

「そんなんいって遊びたいだけですやん!これまでスマホにやられて夜ふかしして眠そうにしていることあったやん!まだそんなん言ってるんか!!!」

なんてスマホを浴槽にぶち込みたくなる衝動を押さえて、保護者は踏ん張りどころです。話し合いを続けます。

「じゃああなたの言った通りでひとまずやってみよう。ちゃんと勉強が出来てちゃんと結果が出れば文句はないね。スマホとうまく付き合えたってことだから」

「ちゃんと勉強が出来たかどうかはさっき言った勉強時間が守れたかどうかね。結果が出たかどうかは5教科各教科が平均点+20点を超えていたら出来たことにしよう」

「これがクリア出来たらこの作戦のままで勉強していこう。逆にクリアが出来なかったらそこからは私が提案をした方法を取り入れてやってもらうことにしようよ。どう?」

こんな感じで内容を決定します。

スマホのくだりは甘すぎるとなれば、もう1ターン話してみてもいいですね。もしくはそれが実行出来なかった時のスマホの制限度合いを上げてみましょう。

「スマホの制限は入れた方がいいと思うけど、どうしても今のままっていうならば出来なかったらスマホ制限は言う通りに従ってもらうよ。自分で出来るって言いきってダメだったってことは考えが甘かったってことだから」

これでたじろぐようでしたらただ甘かったと。たじろがなかったとすれば実行する覚悟があるのか、わかってないかのどちらかです(笑)

一緒に相談をして自分で決めた取り組みだから、成功も失敗もちゃんと自分の責任の元で結果を手にしてね。

これを家庭内で実行していくのです。

社会に出ればこれの繰り返しですからね。早々と体験させてあげてください。

仰々しく書きましたが、これが私がいつも中学生たちと交渉をするときの手順です。

基本的には別に何かものすごい学術的な研究結果に基づいて行われていません。ただのいち塾長の生徒との接し方なんですけどね。

ボイシーでも同じ話題で話してます。文字で読んでみて実行してみようかとなれば、よかったらボイシーでも聞いてみてください。

参考にしてもらえるといいです。

今日はこのへんで。

それでは。

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國立拓治

愛知県岩倉市と兵庫県伊丹市にあるさくら個別指導学院の塾長。2005年より愛知の中学生親子の力になれるよう当ブログを日々更新。月間最大50万PV。拙著「くにたて式中学勉強法」は12刷重版!著書累計は6万5千部突破!休日は余談も発信!3度の飯より飯が好き。詳しいプロフィールはこちら。